7)医薬品の開発に必要な「製造販売後調査」を知る!

              医薬品コンサルタント, 開発, 承認取得, 

厚生労働省の承認が得られたのに、発売後も「製造販売調査」を行うのは、何故ですか?

発売後にも、実際の臨床の現場で、新しい「お薬」を使用した場合の有効性や安全性のデータを引き続き収集して、より適切な使用方法を確立するのが目的です。

第7回目のテーマとしては、「製造販売後調査・試験」について、次の4項目を中心に説明したいと思います。


(1)製造販売後調査・試験
(2)製造販売後調査と製造販売後安全管理業務の関係
(3)再審査期間
(4)再審査

それでは順番に、説明したいと思います。
                                                                                       (1)製造販売後調査・試験
・平成25年3月11日にGPSPa)、GVPb)省令の改正が行われる以前には、GPSPでは、以下の3つの調査、ないしは試験を行っていました。
(ⅰ) 使用成績調査
・医薬品を使用する患者さんの条件を定めることなく行う調査。
(ⅱ) 特定使用成績調
・小児、高齢者、妊産婦、腎機能障害又は肝機能障害を有する患者さん、医薬品を長期に使用する患者さん、その他医薬品を使用する患者さんの条件を定めて行う調査。
(ⅲ)製造販売後臨床試験
・治験、使用成績調査、もしくは製造販売後データベース調査の成績に関する検討を行った結果、得られた推定等を検証し、または診療においては得られない品質、有効性及び安全性に関する情報を収集するために行う試験。

a) GPSP (製造販売後の調査と試験の実施の基準に関する省令 : Good Post-marketing Study Practice)
b) GVP (医薬品等の製造販売後安全管理の基準に関する省令:Good Vigilance Practice)

(2)製造販売後調査と製造販売後安全管理業務の関係
・平成25年3月11日にGPSP、GVP省令の改正が行われていますが、この改正では、従来のGVP省令に RMPc)の規定・手順を加えたこと、また、総括製造販売責任者、安全管理責任者とGPSPの製造販売後調査等管理責任者との間で相互の密接な連携を取ることになりました。

c) RMP(医薬品リスク管理計画 : Risk Management Plan)

・RMPは、新薬候補品毎に、重要な副作用(安全性検討事項)、市販後に実施される情報収集活動(医薬品安全性監視活動)、医療関係者への情報提供等の新薬候補品使用時のリスクを減らすための取り組みを纏めた資料で、承認申請時に案としてPMDAに提出したものを、実臨床の場で実施されるものです。目的としては、先ず開発時に臨床試験等から得られた成績から、新薬を患者さんに投与した時の注目すべき「安全性検討事項」、「安全性監視計画」、「リスク最小化計画」を策定します。次に、その対策が妥当なものであるかを、GPSPから報告される調査成績、並びに GVP により収集される安全性(副作用報告)に関する調査成績から、常に確認し、最初に設定した計画との齟齬が見られれば随時修正を加えて、患者さんの安全性の確保と適切な使用方法の確立に向けた活動が行える体制にするためのものです。

PMDAサイト:医薬品の製造販売後調査の現状と留意点
https://www.pmda.go.jp/files/000161616.pdf

(3)再審査期間
・再審査期間とは、特許期間のようなもので、通常の新薬で承認取得後8年間、新たな適応症の追加、新しい投与剤型(カプセル剤を錠剤にする等)の追加等では内容に応じて4年から6年、希少疾病用治療薬(国内の患者さんの数が5万人未満で、他に有効な治療薬がない疾患に使用するもの)や小児の適応症を取得した場合には10年の再審査期間が設定されます。再審査期間中は、いわゆる後発医薬品は申請できない事になっています。

(4)再審査
・医薬品の製造販売業者は再審査期間中に得られた、GPSP、GVP、GCP、外国の臨床データ等における、新医薬品の有効性及び安全性等の成績を集計・解析し、申請資料として纏める必要があります。提出時期は、再審査期間の満了から3か月以内に、厚生労働省大臣(PMDAを介する)に申請する必要があります。
・再審査の結果として「発売中止」、「一部適応症の削除」、「用法・用量の変更」、添付文書上の「警告、使用上の注意等の変更」等が行われることがあり得ます。

【今回の話の纏め】 

 今回は、承認取得後の医薬品製造販売会社の業務として、製造販売後調査・試験の内容について、また、RMP(医薬品リスク管理計画)の導入に伴い、平成25年にGPSP省令、GVP省令の改正が行われ、GPSPの仕事内容は変わらないものの、総括製造販売責任者や安全管理責任者との連携が強化され、RMPの実現化、並びに新規医薬品の患者さんに対する更なる安全性の確保、並びに適切な使用方法の確立に向けた対策が取られています。

                                  医薬品コンサルタント, 開発, 承認取得,