最近よく聞く「医薬品の限定出荷」の状況

 「限定出荷」とは、医薬品の在庫偏在を防止するために、既存医療機関や薬局への医薬品の安定供給を優先し、新規採用は辞退するため、「特約店(卸)」に対して出荷数の割り当てを調整することで、医薬品の安定供給に支障が出るのを出来るだけ少なくする事である。

この対応の始まりは、元々は2020年12月に発覚した後発品企業のGMP違反(承認書の内容と異なった製造、品質試験の捏造、二重帳簿の作成等が長期間行われていた)により、業務停止を受けたことに端を発する。ここ1年位の間に、後発品企業を中心に、先発品企業においても、同じような医薬品の品質の問題に関して薬機法の違反が相次いで摘発され、10社程度の会社が業務停止を受けている(この問題は2022年9月2日にも石川県の後発品企業が承認書と異なる製造をしていたことが発覚して業務改善命令を受けており、問題はまだまだ解決していない。実際、厚労省は2022年度内にGMP監査のマニュアルを出す予定でいるし、PMDAでは。この4月から組織内にGMP教育支援課を作り都道府県の立ち入り調査を支援する事を現時点で行っている)。

上記の結果として、他社における同一成分の医薬品の注文が集中し、特約店では、既存医療機関、薬局への医薬品の安定供給を優先し、新規採用は辞退する「限定出荷」を行う事になり、現在も続いている。この問題は、後発品企業を中心とした薬機法違反だけによるものではなく、コロナの発生によるサプライチェーン上の医薬品関連物質の供給低下も関連し、さらに、円安により海外からの医薬品原料や中間体の価格の高騰やウクライナ紛争による物価高に伴う製造コストの増大も影響していて、医薬品の安定供給の悪化状況は、改善しているとは言えない。また、限定出荷を解除すると、大量に注文する医療機関や薬局が出てくるので、簡単には解除出来ない状況に陥っている(今年1月に、これを回避するための通知は出ている)。

 この状況を乗り切るのは、未だ時間が掛かると思われるが、厚生労働省が設定した「安定確保医薬品」カテゴリA(最も優先して取り組む)21成分、カテゴリB(優先して取り組む)29成分、カテゴリC (安定確保)456成分のうち、さらに代替薬剤が少ない医薬品を優先させたり、後発品企業では、製造している製品のうち、かなりの部分で、薬価が低下して、不採算品目となっている医薬品があるので、早急に品目整理(終売、最低薬価の引上げ等)を進める事で対応する事が期待されている。